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佐渡より諸行の灯り

制作日

2024年4月4日

撮影場所

茨城県牛久市(bukotuの森)

使用材料

本体部分:板ガラス、シーグラス、廃ガラス、ハンダ(すずと鉛)
ハンドル部分:真鍮棒

作品No.84
この作品はどこからお話をすれば良いか少し悩む。
まず初めに、正面に顔部分のように見えるブラウンの丸いガラス。これは、伊豆でボトルディギング(※1)をされている方との関わりの中で、ご好意で頂いたもの。
※1・・・アメリカから来た瓶収拾の文化。昔の生活の跡、ごみ捨て場(ハケ)を掘り返して、古い瓶を収集する事。
調べてみるとどうやらこのガラスは、2003年まで新潟県の佐渡で味噌の製造をしていた会社”丸大味噌さん”のものであると判明。おそらく味噌が入っていた瓶の蓋と思われる。
とても頑丈で重く、そのガラスだけですでに存在感があり、頂いた時にどのような作品に仕立てることができるだろうと、ワクワクしながらも悩みました。なるべく、その雰囲気とそこに確実に存在する趣のあるストーリーを邪魔しないように、ガラスの背面に板ガラスやシーグラスなどをあしらって、このようなフォルムにしてみた。
改めてガラスを見てみると、味噌会社の瓶の蓋、シーグラス、板ガラス、そして某ハンバーガーショップのノベルティで出されたコカコーラのグラスの破片。様々なガラスが集結してスクラムを組み、この作品を構成しています。
そしてこの作品の機能の面でも少し特徴があります。それは、3WAYでライトの明かりや陽の光を楽しんでもらえること。
①ランタンとしてぶら下げて楽しむ
②置き型として楽しむ(正面だけでなく裏側も正面に)
③味噌ガラスを下に伏せてドーム部分を灯して楽しむ
正面の味噌ガラスの部分はもちろん格好いいですが、それ以外の面の風合いも味わって欲しいと、そのようにしました。

佐渡から本州にわたり、伊豆の土の中に埋まってしまった味噌のビン蓋は、あるコレクターの目に留まり手にされ、千葉の私の元にやってきました。そしてそこでは、他の様々なキャリアを積んだガラスたちと会い、一緒につなぎ合って世界にどこにもない、たった一つのランタンシェードに生まれ変わりました。この目まぐるしく変わる長い時間の中で、今たどり着き命を吹き込み直したこのオソトランタンに私がつけた名前は、
”佐渡より諸行の灯り” (※2)
※2・・・諸行とは因縁の和合によって作られる、この世の一切の事物・現象。万有。万物。
何かの縁が作用してこの作品まで辿り着き、この世の新たな価値観の事物となって、持ち主のそばでほのかに灯るランタンになってもらえればという、思いを込めて仕上げた。

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